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国立高度専門医療研究センター 医療研究連携推進本部

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肺構成細胞の加齢性変化に着目した気管支喘息の病態解明

研究概要

気管支喘息は、咳や喘鳴などの症状を繰り返すことを特徴とした呼吸器疾患で、小児から高齢者まで幅広い年代の患者さんが罹患しています。近年の研究によって、気管支喘息は一つの病気ではなく、いくつかの異なる病態を含む疾患であることが明らかになってきました。その病態を分ける重要な要素の1つが【年齢】です。

例えば、乳幼児期に発症する気管支喘息は、アトピー性皮膚炎や食物アレルギーなど、他のアレルギー疾患を合併することが多く見られます。一方で、高齢の気管支喘息患者さんでは、そのようなアレルギー疾患の併存は必ずしも多くありません。このことから、加齢に伴う肺の何らかの変化が、気管支喘息の病態を変化させている可能性が考えられますが、その詳細については、明らかになっていない点が多く残されています。

特に、高齢の気管支喘息患者さんは治療に難渋する場合があり、本邦における喘息死の大多数を高齢患者さんが占めています。その背景には、併存疾患や加齢に伴う呼吸機能の低下が影響していると考えられますが、それだけではなく、加齢によって肺を構成する細胞やその働きが変化し、高齢者特有の気管支喘息の病態を形成している可能性があります。

そこで私たちは、何らかの呼吸器疾患に対する治療のために肺切除術を受けた気管支喘息患者さんの病理検体を用いて、この課題に取り組むことを考えました。具体的には、年齢の異なる気管支喘息患者さんの肺の病理検体を詳細に解析することにより、高齢の気管支喘息患者さんに特有の変化を明らかにすることを目指しています。通常の気管支喘息診療では肺の組織を直接調べる機会は少ないため、このような病理検体を用いた研究は、高齢者喘息の病態解明につながる貴重な機会になると考えています。さらに、患者さんの手術検体から得られた結果をもとにマウス実験を行い、詳細な病態解明を行うことを予定しています。

研究のイメージ図

画像17.png

期待される効果

  • 高齢者特有の気管支喘息の病態を明らかにし、なぜ治療が効きにくいのかを理解できるようになること・ 高齢者特有の気管支喘息の病態を明らかにし、なぜ治療が効きにくいのかを理解できるようになること
  • 現在の治療では十分な効果が得られない気管支高齢の喘息患者さんに対して、新しい治療の考え方や選択肢につながる可能性があること
  • 年齢によって気管支喘息の性質が異なることを科学的に示し、患者さん一人ひとりに合った治療(治療の層別化)を進める基盤となること

主任研究者

長野 直子(国立成育医療研究センター研究所 免疫アレルギー・感染研究部 研究員)

近年の治療薬の開発によって、気管支喘息のコントロールは大きく向上し、臨床的寛解を目指せる疾患になってきました。しかし、今でも症状に苦しんでいる方は多くいらっしゃいます。呼吸器内科医としての視点を活かして、多面的なアプローチで気管支喘息の病態解明に貢献することを目指して研究に取り組んでいます。

長野直子

分担研究者

【国立健康危機管理研究機構】
国立国際医療センター
胸部外科診療科長・呼吸器外科第二呼吸器外科医長
長野 匡晃