細胞外小胞を対象とした血漿の採血・処理法の最適化と、保存血漿の活用法の開発
研究概要
この取り組みは、血液検査を通じて病気の状態をより正確に知るための「土台づくり」を目的としています。血液の中には、体の細胞から放出される非常に小さな粒子(細胞外小胞:EVs)が含まれており、これらは体の変化や病気のサインを映し出す重要な情報源になることが分かってきました。
ところが、血液から検査用の血漿を取り出す過程で「血小板」という成分が混ざり込むと、情報が乱れてしまい、正しい評価が難しくなることがあります。混ざり方には人によって大きな差があり、結果が安定しない原因にもなっています。また、すでに保存されている血液検体では、この影響を後から取り除く方法がほとんどなく、せっかく提供された貴重な検体が十分に活かされていないという課題もあります。
そこで本取り組みでは、血液の採取や処理の方法を見直し、不要な成分の混入をできるだけ防ぐ方法を整えます。あわせて、検体量が少なく特に貴重な小児の血液についても、安心して活用できる条件の検討も行い、また、すでに保存されている血液検体についても、影響を減らす新しい工夫も開発中です。
これにより、患者さんから託された血液検体を無駄にせず、将来の医療や診断の精度向上につなげることが期待されます。目に見えにくい部分を丁寧に整えることで、より信頼できる医療研究と、その先にある患者さんへの還元を目指しています。
研究のイメージ図
期待される効果
この取り組みは、患者さんから大切に提供していただいた血液を、できるだけ無駄にせず、将来の医療に役立てることを目指しています。血液検査の精度を高めることで、病気の理解が進み、より安心できる診断や治療につながる可能性があります。患者さんお一人おひとりからいただけるご協力が、未来の医療へと確かに活かされる様になります。
主任研究者
土肥 栄祐(国立精神・神経医療研究センター、神経研究所 疾病研究第三部、室長)
私はこれまで、診断が難しい方の診療に取り組む機会を数多く頂き、重要な課題に気付き、これに取り組むことの大切さを学び、今も学ばせて頂いております。血液検体の品質向上に加えて、臨床テキスト(カルテなど)をデータとして最大限利活用する研究も進めております。これらが合わさることで、患者さんお一人お一人に精密かつ最適な医療を提供できると信じ、研究を進めて参ります。

分担研究者
【国立成育医療研究センター】
神経内科 早川 格

