軽度認知障害(MCI)高齢者の健康を支える社会資源の分布と健康寿命との関連:地理情報システム(GIS)を用いた研究
研究概要
認知症は増加しており、その前駆段階である軽度認知障害(MCI)への予防的支援の重要性が高まっています。MCIは日常生活が概ね自立している一方で、一定割合が認知症へ移行することが知られています。また、MCIでは回復(リバート)も起こり得ることが報告されており、回復を促進する要因の解明は重要です。
これまで運動・栄養・社会活動などが回復促進要因として報告されていますが、地域の中にある人のつながりや活動、支えあいの仕組みといった社会資源に関しては「どのような資源が」「どのような機能を通じて」MCI高齢者の健康維持に寄与するかが十分に整理されていません。MCI高齢者は介護サービス利用が少なく、日常的に利用しやすく負担の少ない資源が重要となる可能性があります。
本研究では、文献レビューと地域の支援者へのインタビューにより、MCI高齢者の健康を支える社会資源の種類・機能を明確化し、MCI段階に適した社会資源の定義枠組みを構築します。次に、MCI有病率が把握できる一部地域を対象に、自治体資料等から社会資源データを収集し、GIS(ArcGIS)により資源の分布、アクセス可能性、地形条件等を可視化します。
これまで支援として認識・評価されにくかった社会資源の存在や機能を可視化し、社会資源のアクセス上の課題や偏在を把握することで、地域の支援体制整備や資源配置の検討に資する基礎資料を提供し、将来的な発展研究につなげます。
研究のイメージ図
期待される効果
- MCI段階に適した社会資源の定義枠組みを提示し、現場での資源整理を支援します。
- GISにより資源の分布・アクセス可能性・偏在を可視化し、地域支援体制整備の基礎資料を提供します。
主任研究者
古川 彩子(国立健康危機管理研究機構 国立看護大学校 老年看護学 講師)
MCIの方は生活機能が保たれているため、公的サービスにつながりにくく、支援のタイミングを逃しやすい現状があります。本研究では、現場の支援者が「どの社会資源を、どう組み合わせて活かすとよいか」を整理できる知見を示し、MCI段階で利用しやすい社会資源の分布・偏在とアクセスを可視化します。支援の空白を減らし、早期支援につながる地域づくりに貢献したいと考えています。
分担研究者
【国立健康危機管理研究機構】
国立看護大学校
河田 美那子、田中 芳治
【国立健康危機管理研究機構】
国際医療協力局
益 絢子、宮城 あゆみ、河原崎 彩佳、馬場 洋子、清水 栄一

