未成年の子どもがいるがん患者支援のための医療者対象教育研修プログラム開発研究
研究概要
第4期がん対策推進基本計画重点課題としてAYA世代支援があり、就労や妊孕性温存と共に未成年の子どもを持つがん患者の子育て中の気がかりへの支援はその1つと言えます。当院の入院患者の4人に1人は未成年の子どもを持つがん患者であり、がん治療中に子との向き合い方や病気の伝え方など様々な気がかりを抱えています。また親ががんである子どもは、親から「がん」について語られないことから情緒や行動への影響が生じやすいことが知られています。
AYA支援チームのある医療機関は徐々に増えているものの、子育て中のがん患者の支援に関しては、医療者向けの教育プログラムもないため、現場では手探りで支援を行っています。一般的に子育て中のがん患者の診療数は少なく、医療者にとって特に子育て中の終末期例の支援に対して困難感を感じています。
申請者を含むチームは、2012年より萌芽的取組として緩和ケアチームが中心となり、未成年の子どもがいる患者や家族の支援と、医療者を支援する体制を構築し実践してきました。また研究として、医療者調査、患者調査、医療者向け教育プログラムの開発を行ってきました。医療者向け教育プログラムは、先行研究を基に、医療者が患者ニーズに基づいて患者支援できるように、講義とグループワークから構成され、2023年にパイロット研修を実施し、修了者の子育て中のがん患者支援に対する自信の向上につながっている結果を得ました。
これまで国内外において未成年の子どもがいるがん患者支援の医療者向け教育研修とその効果を検証した研究は少なく、本邦で普及可能な検証された研修プログラムはありません。研究を通して教育プログラムの開発を完了し、その効果を検証し、医療者にとって子育て中の患者支援を学ぶ重要な教育コンテンツとし、臨床家の支援の質があがることで、子育て中のがん患者とその家族の生活の質の改善につなげたいと考えています。
研究のイメージ図
期待される効果
本研修プログラムの開発によって、未成年の子どもがいるがん患者支援の教育研修の有効性と明らかになれば、一般医療者の教育プログラムとしてがん診療連携拠点病院を中心に、研修の実施を通して普及を進めることができます。また、汎用性のある研修プログラムの提供を行うために、研修プログラムの提供を行う中で、運用面で生じた課題についても整理し、他施設で実施する際に課題となる点についても明らかにします。その結果、がん診療を行う未成年の子どもがいるがん患者支援の教育研修機会が増加すれば、AYA~middle世代がん患者の支援につながり、国内全体のAYA~middle世代がん患者への医療の質の向上に貢献することが期待できると考えます。
主任研究者
飯田 郁実(国立がん研究センター中央病院 看護部 副看護師長/がん看護専門看護師)
私は、緩和ケアチームの看護師として、未成年の子どもがいるがん患者・家族支援チームの活動を行っています。未成年の子どもを持つがん患者さんはご自身の病気や治療のことだけでなく、自身の病気や治療が子どもに及ぼす影響についてさまざまな気がかりを持っています。しかし、そのような子育て中の患者の支援について医療者が学習する機会はほとんどありません。本研究で開発した未成年の子どもがいるがん患者・家族支援医療者研修が子育て中のがん患者支援を行う医療者の背中を押すことができるよう研究開発および普及を進めていきたいと考えています。
分担研究者
【国立健康危機管理研究機構】
国立国際医療センター 緩和医療科
新藤 明子

