小児がんに対するゲノムプロファイリング検査の有用性を確認
オールジャパンの連携体制を確立し全国の小児がん患者さんに精密医療の提供へ
2025年12月16日
国立成育医療研究センター小児がんセンターの加藤元博(東京大学医学部附属病院小児科と兼任)・松本公一、国立がん研究センター田尾佳代子・市川仁・鈴木達也らの研究グループは、日本小児がん研究グループ(JCCG)との共同研究として、小児がんに対してゲノムプロファイリング検査の有用性を評価する全国規模の多施設共同臨床研究(JCCG-TOP2)を行いました。国立成育医療研究センター小児がんセンターの加藤元博(東京大学医学部附属病院小児科と兼任)・松本公一、国立がん研究センター田尾佳代子・市川仁・鈴木達也らの研究グループは、日本小児がん研究グループ(JCCG)との共同研究として、小児がんに対してゲノムプロファイリング検査の有用性を評価する全国規模の多施設共同臨床研究(JCCG-TOP2)を行いました。
ゲノムプロファイリング検査はこれまで成人のがんを主な対象として設計されていて、小児がんに特徴的な遺伝子の変化を十分に捉えられないことが課題でした。本研究では、204人の小児がん患者さんを対象にゲノム検査を行い、ゲノムプロファイリング検査が小児がんに対する有用性とともに、小児がん診療に実装するために必要な連携体制や人材育成の在り方について検討しました。
その結果、ゲノム検査が小児がんにおいても診断補助や予後予測・薬剤選択など、精密な治療選択に幅広く役立つことが明らかとなり、オールジャパンの小児がん研究団体であるJCCGの協力を得て、ゲノム医療を進めるための全国的な枠組みを確立することができました(図1)。
本研究成果は、日本の学術誌「Cancer Science」に掲載されました。

【図1:JCCG-TOP2研究の概要】
プレスリリースのポイント
- 研究グループは、日本小児がん研究グループ(JCCG)に参加する全国の小児がん診療施設の協力を得て、小児がん診療におけるゲノム検査の意義や有用性を確認しました。
- 「新Todai OncoPanel(TOP2)」を用いて、小児がんに対するオールジャパンの全国規模の前向き臨床研究(JCCG-TOP2)を実施しました。
- 全国50施設から210人の患者さんが登録され、解析結果を予備検討会やエキスパートパネル(専門家会議)で議論し、臨床的意義(診断・予後・治療)を評価しました。ゲノム解析結果が得られた204例のうち、147例(72%)で「臨床的に有用な所見(PAF: Potentially actionable findings)」が見つかりました。
- 本研究によって、小児がん診療において、がんゲノムプロファイリング検査が重要な診断技術であることが確認されました。また、研究を通じて整備された、がんゲノム検査と病理診断を組み合わせた小児がんの統合診断の連携体制や小児がん診療に携わる医療従事者のゲノム医療に関する人材育成が重要であることを明らかにしました。本研究成果は、小児がんに対するゲノム医療を全国的に提供するための重要な一歩となることが期待されます。
プレスリリースのダウンロード
小児がんに対するゲノムプロファイリング検査の有用性を確認(PDF:846KB)
