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国立高度専門医療研究センター 医療研究連携推進本部

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コロナ禍で医療従事者のビタミンD欠乏が顕著 長期間の屋内生活が影響、免疫力低下と骨粗しょう症・骨折に注意が必要

国立成育医療研究センター(所在地:東京都世田谷区大蔵、理事長:五十嵐隆)の「ナショナルセンター[1] 職員における新型コロナウイルス感染症の実態と要因に関する多施設共同観察研究」グループは、感染者の易感染性[2]や重症化要因を評価する目的で、新型コロナウイルス感染症患者受け入れ病院である国立成育医療研究センターのハイリスク医療従事者361人(男性87名、女性274名)を対象として2021年3月1日から3月5日[3]に調査を行ったところ、ビタミンDの欠乏が顕著にみられました[4]。ビタミンD欠乏は免疫力を低下させる可能性があります。また、屋内生活での運動不足(骨刺激不足)により骨粗しょう症への影響も懸念されます。この研究結果は医療従事者だけでなく、長期間の屋内生活をしている方は、適度な日光浴もしくはビタミンDの補充(食事、サプリメント、薬剤)が重要である可能性を示唆しました。

【性別のビタミンD欠乏レベル 】

性別のビタミンD欠乏レベル

<注釈>

[1] ナショナルセンター(国立高度専門医療研究センター):高度先駆的医療の研究・開発・普及、医療従事者の研修および、情報発信等を総合的・一体的に行うための中核的な機関。 国立がん研究センター、 国立循環器病研究センター、国立精神・神経医療研究センター、国立国際医療研究センター、国立成育 医療研究センター、国立長寿医療研究センターの6つがあります。
[2] 易感染性:免疫機能の低下などによって抵抗力が弱まり、細菌やウイルスなどによる感染症に罹りやすくなっている性質のこと。
[3] 2021年1月8日から3月21日まで首都圏4都県に緊急事態宣言が発令されていました。
[4] 先行研究により、新型コロナウィルス感染症流行前から、日本人を含むアジア人の70%にビタミンDが不足していることが指摘されていました。今回の研究では約90%の研究参加者にビタミンDが欠乏していました。

発表のポイント

  • この調査で顕著に異常を認めたのはビタミンDであり、性別、年齢を問わず多くの研究参加者で不足しております。
  • 新型コロナウイルス感染防御対策や、医療従事による長期間の室内生活が紫外線吸収の低下を招いたことが原因の一つとして考えられました。
  • ビタミンDには多様な生理作用があり、細胞の分化・増殖や免疫機構、骨代謝と深くかかわっています。
  • ビタミンD不足においては、感染防御能力の低下に加え、骨代謝の低下と運動不足(骨刺激不足)による骨粗しょう症や、それに起因する骨折への注意が必要です。

プレスリリースのダウンロード

コロナ禍で医療従事者のビタミンD欠乏が顕著 長期間の屋内生活が影響、免疫力低下と骨粗しょう症・骨折に注意が必要 (PDF:615.7 KB)