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国立高度専門医療研究センター 医療研究連携推進本部

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~出生体重と成人期の生殖アウトカムの関連が明らかに~

低出生体重で生まれると、生殖可能年齢が短くなる傾向に
~出生体重と成人期の生殖アウトカムの関連が明らかに~

2025年10月6日

国立成育医療研究センター(東京都世田谷区、理事長:五十嵐隆)女性の健康総合センター女性の健康推進研究室および、社会医学研究部・森崎菜穂らの研究グループは、国立がん研究センターなどと共同で行っている次世代多目的コホート研究 にて、出生体重 と思春期・成人期の生殖アウトカム(初経・閉経年齢、生理周期の乱れなど)との関連を調べる研究を行いました。

その結果、出生体重が3kg台(正出生体重児)の方と比べて、低出生体重児(出生体重2.5kg未満)の方は初経年齢が約2ヶ月遅く、閉経年齢が約3~7ヶ月早い関連がみられました(図1)。その結果、生殖可能期間が約5~8ヶ月短縮される傾向が認められました。

グラフ1【図1.出生体重が3000~3999gの女性を基準とした場合の初経・閉経年齢との関連】

また、出生体重が3kg台(正出生体重児)の方と比べて、1500~2499g(低出生体重児)および、1500g未満(極低出生体重児)の方で月経不順の有無(過去に生理周期が乱れたことがあること)などとの関連もみられました(図2)。

グラフ2【図2.出生体重が3000-3999gの女性を基準とした場合の月経不順との関連】

これらの関連は、本コホートに参加している女性の内、年長の世代(1948年~1959年生まれ)の方において顕著で、年少の世代(1960年~1977年生まれ)の方ではその傾向が減少していることが観察されました。そのため、より若い世代の追跡によるさらなる研究が望まれます。

また、日本では10人に1人が低出生体重児、100人に1人が極低出生体重児で生まれます。今後、低出生体重児が増えないための取り組みや、低出生体重児として生まれた方の成人後のプレコンセプションケアのために、本研究の知見が正しく周知され、予防医学の精度の向上に役立つことが期待されます。
本研究は、出生体重とその後の生殖アウトカムとの関連を包括的に報告した初めての研究で、女性のライフコース全体にわたる生殖機能の形成において、出生前の要因が重要な役割を果たす可能性を示唆しています。
本研究成果は、疫学専門誌「Journal of Epidemiology」で発表されました(2025年9月25日Web先行公開)。

プレスリリースのポイント

  • 出生体重が小さい方ほど、初経年齢が遅く、閉経年齢が早くなり、生殖可能年齢も短くなる傾向が分かりました。
  • 出生体重が小さい方ほど、生理周期が乱れた経験があることと関連が見られました。
  • 出生体重と生殖アウトカムの関連を、周閉経期[1]女性を対象に包括的に評価した初めての研究成果です。

プレスリリースのダウンロード

低出生体重で生まれると、生殖可能年齢が短くなる傾向に(PDF:995KB)

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