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国立高度専門医療研究センター 医療研究連携推進本部

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妊娠高血圧症候群既往女性における壮年期高血圧罹患予防のための生活習慣改善に関する研究

研究概要

妊娠・出産期に妊娠高血圧症候群であった女性のその後の高血圧の予防のための保健指導方法を開発します。

妊娠・出産期に妊娠高血圧症候群であった女性は将来、高血圧や脳卒中などになりやすいと言われていますが、まだそのメカニズムや具体的なサポート体制や基準などは確立されていません。また、出産後には血圧の値は改善するため、その後の血圧管理は本人に任されます。さらに、非正規雇用労働者である場合、健診受診が任意であることも多く、血圧を測る機会が限られるため、その後の経過が十分に追えていないことが想定されます。そこで、妊娠高血圧症候群後の高血圧や循環器疾患発症の原因の究明や予防法の確立につながるエビデンスを生み出すことは、重要な課題であると考えます。

2011~2016年に行われたJPHC-NEXTのアンケート調査に参加した全国7地域16市町村在住の40~74歳女性 約6万人のデータを用いて、過去に妊娠高血圧症候群になった人のその後の高血圧へのなりやすさ、食事や運動などの生活習慣によって将来の高血圧予防について検討します。

また、5年後に同じように行っている調査の結果も合わせ、最初の調査以降に新たに高血圧になった人の情報も組み合わせて、妊娠高血圧症候群になったことのある女性の壮年期のどのような生活習慣が将来の高血圧に影響を及ぼしているのか、また高血圧発症を防ぐための生活習慣としてどんな予防ができるかを提示します。

さらに、小中学生の子どもとその母親を対象に行っている研究(吹田Offspring研究)の対象者300名の母親に対して、健診と家庭血圧測定を実施します。その母親の妊娠高血圧症候群の有無別に健診時および家庭血圧で高血圧があるかどうかを把握し、妊娠高血圧症候群になったことのある女性には研究成果に基づき提示された保健指導を行い、その効果を評価します。

研究のイメージ図

研究のイメージ図.PNG

期待される効果

  • 壮年期の女性への妊娠高血圧症候群の既往歴に応じた保健指導の重要性を示すことができる可能性があります。
  • 現在国立循環器病研究センターでは、母子手帳アプリを開発中です。このアプリに本研究の研究成果を反映させることで、アプリを通して広く、妊娠高血圧症候群になったことのある女性に向けた将来高血圧にならないための生活習慣アドバイスが可能となります。

主任研究者

川内はるな(国立循環器病研究センター、健診部、非常勤研究員)

日本には、生まれてから高齢になるまで「健診」を受ける機会は多くあるものの、ライフステージごとに健康情報を管理する部門が異なるため、生涯を通じた継続的な健康支援の仕組みや生活習慣病対策については、まだ不十分です。今回の研究では、女性の妊娠期から壮年期までの情報を繋げて検討し、また、その結果を実証することによって、一つのライフステージの切れ目を超えた支援の可能性を提案することができると考えています。
写真_川内はるな.png

分担研究者

【国立がん研究センター】
がん対策研究所
小野 綾美

【国立成育医療研究センター】
社会医学研究部
森崎 菜穂