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国立高度専門医療研究センター 医療研究連携推進本部

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神経・筋疾患を有する患者に対する肝臓外科治療の最適化に関する研究

研究概要

神経・筋疾患は希少な病気であり、病態や病因遺伝子などは徐々に解明されてきていますが、一般臨床医には病態が理解されていないことが多くあります。肝疾患に対する外科的治療を考慮する場合においても、疾患特異的な特徴のために、疾患を有さない患者さんと同様に治療できない場合があり、治療方法の選択に難渋することがあります。

本研究の目的は、神経・筋疾患を有する小児患者さんで、肝臓疾患を併発し、外科的治療が必要となった場合に、効果的かつ自然予後に悪影響をおよぼさない治療戦略を確立することです。

例えば、ミオチュブラーミオパチーを有する患者さんは、肝臓の支持組織が脆弱ですので、肝出血した際に肝切除を行うと、残った肝臓から出血し、手術をすることでかえって患者さんの寿命を短くしてしまう可能性があります。

ミオチュブラーミオパチーに伴う肝出血に対しては、本邦で生体肝移植を4例施行しています。幸い患者さんは元気にされていますが、それらの症例を振り返ることで、短期および長期合併症を検討して、肝移植などの外科的治療が、患者さんの発達や自然予後にどのように影響するか明らかにしていきます。肝生検や筋生検を施行した際に、検体の一部を用いて、局所及び全身への影響を検討します。また疾患自体が非常に希少ですので、基礎研究も併せて行って、多くの知見を得たいと思っています。

また、その他の神経筋疾患を有する患者さんにも、肝疾患に対する治療時に留意点があるのかといったことも含め、疾患の幅を広げて検討を行いたいと思っています。

肝臓疾患に対する治療を行う我々と、神経筋疾患の専門家と共同で研究を行うことで、領域横断的に肝臓疾患を患った「患者さんを治す」といったコンセプトのもとに診療が可能になると考えています。

研究のイメージ図

2023_s_study_1.png

期待される効果

  • 神経・筋疾患を有する小児患者さんにおける、肝疾患に対する治療戦略の確立
  • 肝疾患に対する治療方針が、患者さんの自然予後に与える影響の検討

主任研究者

清水誠一(国立成育医療研究センター 臓器移植センター 医師)

数年前にミオチュブラーミオパチーの患者さんにおいて、肝紫斑病からの肝出血に対して生体肝移植を施行し救命し得た症例を経験しました。我々外科医には、神経・筋疾患はあまり馴染みのない疾患領域ですが、神経科領域の専門家と連携して、症例の詳細な検討と基礎研究を行うことで、治療戦略を確立し、領域横断的に肝臓疾患を患った「患者さんを治す」といったコンセプトのもとに診療が可能になると考えています。

清水 誠一

分担研究者

【国立精神・神経医療研究センター】
脳神経小児科
山本薫