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国立高度専門医療研究センター 医療研究連携推進本部

病院間の成人移行支援体制の構築

小児医療の進歩の結果、小児期発症の慢性疾患の死亡率が減少し、疾患を持ちながら成人する患者が増えています。小児医療では適切な医療を成人患者に提供できないにもかかわらず、成人した患者が小児医療に留まることが多く、適切な「成人移行支援」が提供されているとは言いがたい状況です。現在まで、様々な成人移行支援の取り組みがされていますが、小児医療側からの取り組みがほとんどで、成人医療側の取り組みはほぼないのが現状です。

本研究は、成人診療への移行が難しいとされる、多臓器にわたる複雑な障害や知的障害を持つ患者に対して、的確な成人移行支援の方法論を確立することが目的です。まず、国立国際医療研究センターに総合診療医、小児科医、看護師、ソーシャルワーカーなどによる患者を受ける側のトランジションチーム(以下、国際チーム)を組織し、院内の専門診療医と連携しつつ対応します。国際チームに対して、国立成育医療研究センターのトランジションチーム(以下、成育チーム)がサポートを行います。その上で、他のナショナルセンターと協働し、それぞれのセンターにあった成人移行の形を検討していきます。

その際にweb会議システムとオンライン診療システムを活用します。成育チームが各医療機関の成人移行支援に協力することで、紹介状だけではないサポート体制を確立します。最終的には、今回の共同研究で構築された成人移行支援に関するコンサルテーションの方法論を各都道府県の「移行期医療支援センター」と共有し、全国各地でスムーズに成人移行支援が行われるように支援していきます。また、これらの経験をもとに、web会議システムとオンライン診療システムが内包された「成人移行支援アプリ」の開発にも着手する予定です。この研究により、小児医療機関と成人医療機関の新しい病院間連携体制が確立され、成人移行が難しい疾患を有する患者に対して的確な成人移行支援が行われることが期待されます。

研究のイメージ図

病院間の成人移行支援体制の構築について

主任研究者

窪田満(国立成育医療研究センター総合診療部 統括部長)kubota .png

私はこの5年間、成育で成人移行支援に取り組んできました。成人した患者さんにとっての最善の医療は何か、いつもそこに立ち返っています。これはきれい事ではなく、誰もが納得するために必要な立ち位置です。JHは高度な医療とそれに伴うネットワークを完備しています。そのため、通常の病院では診療が難しい疾病や病状を持つ患者さんにも対応可能であり、そういったJHの連携によって最善の医療を追求できると考えています。

分担研究者

【国立成育医療研究センター】
 賀藤均 病院長

・総合診療科
 稲垣剛志

【国立循環器病研究センター】
・小児循環器内科
 大内秀雄

【国立がん研究センター】
・小児腫瘍科 
 小川千登世

【国立精神・神経医療研究センター】
・小児神経診療部
 佐々木征行