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国立高度専門医療研究センター 医療研究連携推進本部

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ナショナルセンター・バイオバンクネットワーク事業

研究概要

国内6つのナショナルセンター(6NC)では、それぞれが専門とする疾患関連の生体試料・情報を蓄積するバイオバンクを備えています。この6つのバイオバンクが相互に連携し、情報を共有するため、2011年10月にナショナルセンター・バイオバンクネットワーク(NCBN)が発足しました。2012年4月には中央バイオバンクの事務局機能が整備され、続いて専門部門が設置され、共通プラットフォーム(6NC共通の生体試料の収集・提供の仕組み)などを構築するためのNC横断的な作業/検討部会を開始しました。またその活動を通して、

  1. 広報活動を通じたNCBNの認知度向上
  2. 検索ツールとしてウェブによるカタログデータベースの提供と刷新及び調整(ncbiobank.org)
  3. 試料活用希望者等に対するワンストップサービス
  4. 連携に伴う業務(NCBNのSOPの共通化や品質管理など)

のワーキンググループを設置して推進しています。

本事業では、NCBNの基盤を生かし、特に国際的な潮流となっている網羅的なゲノム解析の取り組みの充実と、その情報を付与したデータ提供の実現に向けた取り組みを進めています。

ナショナルセンター・バイオバンクネットワーク(NCBN)(外部サイトへリンクします。)

期待される効果

NCBNは国内最大規模の疾患バイオバンクとして確立しており、国際的な潮流であるバイオバンク事業の要として6NCで横断的に協力して運営してきた実績があります。このNCBNの基盤を更に整備・活用し本事業を推進することにより、さらに質の高い豊富な臨床情報との網羅的解析が可能となり、国民の明日の医療と安全を担う個別化医療の深化を実現できるものと期待されます。


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研究の進捗・成果

2019年度は、6NCに共通した解析が可能な横断的研究課題を検討するため、NCBNのカタログデータベースに登録されている情報にゲノム情報を結果的に付与して種々の研究に生かす取り組みを検討しました。

カタログデータベースに登録の前段階でバイオバンク登録手続きを行う際には6NCのコーディネーターが入念なヒアリングを行っており、その中に薬剤アレルギー歴が6NC共にあることがわかりました。そして、カタログデータベースへのデータ送信時にこの情報もデータベース側が受信しており、これを利用することで、4,500に及ぶ薬剤情報の収集が可能であることが判明しました。このことに基づいて、2020年の課題「薬剤アレルギー歴を有するバイオバンク登録症例のゲノム解析」が実施されています。

この質と量で薬剤情報を即時収集できるバイオバンクは国際的にみてもNCBNのみと考えられ、また薬剤アレルギー情報は、少数であってもある程度の質の高い情報が収集できると薬剤応答性遺伝子が解明されることもあり、この取り組みに対する期待が集まっています。

次に具体的な解析に進む際には、各NCバイオバンクからの試料出庫が必要で、そのタイミングや数量はバラバラであるため、受託解析会社等との間では試料の出庫・解析開始・終了・情報の提供の状況を共有できる仕組みを予め用意しておく必要がありました。これに対応するソリューションが工程管理といわれるもので、クラウドで多地点対応可能なLabWareを採用し、プロジェクトへカスタマイズしました。2019年度終了間際にコントロール全ゲノム解析を、NCBNを通して5NCバイオバンクより実施することが決まり、このソリューションを活用する絶好のタイミングとなると考えられます。

主任研究者

徳永 勝士(国立国際医療研究センター中央バイオバンク長、ゲノム医科学プロジェクト長)

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国内6カ所の国立高度専門医療研究センター(6NC)に付設するバイオバンク(BB)は、それぞれの専門性を活かした患者試料と臨床情報を保管しています。これらが相互に連携して利便性を高めて我が国の医学研究により一層の貢献を果たすため、さまざまなシステムの改善を進めています。その一つとして、6NC-BBが共同してバイオバンク試料のゲノム解析を行い、得られたデータを共有するためのシステムも構築しています。

分担研究者

【国立国際医療研究センター】
・中央バイオバンク
 野入 英世
・ゲノム医科学プロジェクト
 大前 陽輔
・NCGMバイオバンク
 丸岡 豊
・国際感染症センター
 木下 典子

【国立がん研究センター】
・NCCバイオバンク
 谷田部 恭、加藤 健、白石 航也

【国立循環器病研究センター】
・NCVCバイオバンク
 宮本 恵宏、野口 倫生、冨田 努、會澤 久仁子

【国立精神・神経研究センター】
・NCNPバイオバンク
 後藤 雄一、服部 功太郎

【国立成育医療研究センター】
・NCCHDバイオバンク
 松原 洋一、秦 健一郎

【国立長寿医療研究センター】
・メディカルゲノムセンター
 新飯田 俊平、尾崎 浩一、秋山 真太郎、森園 隆、光森 理