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国立高度専門医療研究センター 医療研究連携推進本部

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臨床倫理に関わる人材育成と支援サービスのモデル構築と効果検証に関する研究

医療やケアの方針を決める際には、患者さんにとっての最善を考え、関係者間の対話を通して合意を作っていくことが必要ですが、必ずしも簡単なことではありません。ゲノム医療や再生医療、生殖医療などの新しい技術の導入や、医療の高額化、新興感染症の流行、格差・グローバライゼーションなどの社会の変化は、診療の現場に様々な葛藤をもたらします。さらに、医療の進歩により病気の予後が改善することによって疾患の領域をまたぐ問題や、社会的な問題が生じることもあります。
欧米ではトレーニングを受けた臨床家や生命倫理の専門家によって、このような臨床の場の合意形成のサポートや、臨床倫理支援の取り組みが進んでいますが、日本では臨床倫理支援に関する取り組みは医療機関毎に異なり、どのような体制が望ましいのか、十分な検討やコンセンサスがありません。

本研究は、先端的な医療を提供する6つのナショナルセンターが協働して、患者中心の意思決定を支える人材の育成を目的とした教育プログラムを構築しながら、日本の臨床の現場に導入しやすい臨床倫理支援サービスのあり方を提案し、高度で先端的な医療を扱う6NC共同の臨床倫理の研究基盤を構築することを目指しています。

具体的には、以下のⅠ.~Ⅳ.の研究を行います。

 I. 臨床倫理に関する基礎教育のためのe-learningの構築
 II. 臨床家を対象とした参加型倫理教育プログラムの構築
 III. 教育プログラムおよび臨床倫理支援サービスの効果検証
 IV. 6NC共通の臨床倫理データベースの構築

研究のイメージ図

臨床倫理に関わる人材育成と支援サービスのモデル構築と効果検証に関する研究

期待される効果

  • 本研究で構築する教育プログラムを活用する組織や、臨床倫理支援の実践にあたる人材が増えることによって、医療機関における臨床倫理支援の取り組みが普及し、医療機関において対話を重視する倫理的風土が醸成されることを期待しています。
  • 新たな技術を社会で活用するにあたって生じることになる倫理的・法的・社会的課題(Ethical, legal, social issues (ELSI)に対応する仕組みの構築が求められており、先進的な医療を提供することをミッションとするナショナルセンターが、臨床倫理のナレッジベースを構築し、それを分析することで、社会への還元が期待できます。

主任研究者

清水千佳子(国立国際医療研究センター センター病院 乳腺・腫瘍内科 診療科長)

清水千佳子

臨床倫理を意識し始めたのは、がん患者の生殖の問題を考え始めたときです。病気を生き延びることと、子どもを持つ希望は、まったく異なる価値を扱っており、患者も医療者も、それぞれにジレンマを抱えることになります。こうした葛藤を現場でどのように処理すればよいのか、多職種での対話を通して患者さんの最善を考えるのが臨床倫理です。国内ではチーム医療の考えが導入されて20年になりますが、患者さんを中心とした多職種間の対話は必ずしも進んでいません。この研究を通して、多職種の対話が進み、実践的な臨床倫理支援の取り組みが進むことを期待しています。

分担研究者

【国立がん研究センター】
●中央病院 緩和ケア科/がん相談支援センター/患者サポートセンター
 里見絵里子
●中央病院 看護部
 關本翌子

【国立循環器病研究センター】
●臨床研究開発部/臨床倫理室
 曾澤久仁子

【国立精神・神経医療研究センター】
病院 臨床研究・教育研修部門/臨床研究支援部生命倫理室
 有江文栄

【国立成育医療研究センター】
こころの診療部リエゾン診療科
 田中恭子

【国立長寿医療研究センター】
先端医療開発推進センター研究倫理管理室
 脇ノ薗真理