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国立高度専門医療研究センター 医療研究連携推進本部

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AYA世代がん患者の心理的苦痛緩和のためのピアサポートプログラムの開発

本研究では、思春期・若年成人(Adolescent and Young Adult:AYA)世代(15~39歳)のがん患者に対する院内のピアサポートプログラムが不安や気持ちのつらさに有効かどうかを検討します。

わが国では毎年新たに2万人以上のAYA世代の患者ががんに罹患し、これは全世代の約2%に当たります。病院毎のAYA世代がん患者は少数でがん種が多様であり、様々な診療科が診療に関わります。そのため診療科毎の経験値が少なく医療者の支援は不十分です。また、AYA世代は身体的・心理社会的な成長の過程にあり、様々な苦痛・気がかりが生じます。これらの背景から、第4期がん対策推進基本計画でもAYA世代の支援が重点課題とされています。

AYA世代のがん患者には、疾患や治療に加え、就労/就学、恋愛/結婚、経済的問題などのアンメットニーズがあり、心理的苦痛や生活の質の低下につながります。ピアサポートの有効性が期待されますが、国内全体でピアサポートの提供体制は不十分です。

そこで、院内のピアサポートプログラムがAYA世代のがん患者の不安や気持ちのつらさに有効かどうかを検討するため、プログラムの前後で不安と気持ちのつらさを測定します。その結果、1)ピアサポートの前後で不安や気持ちのつらさが改善するか、2)不安や気持ちのつらさに影響を与える要因、3)ピアサポートを他の病院で行う際の課題、が明らかになります。

本研究は、ピアサポートの心理的効果を学術的に検討している点、およびピアサポートを多様な患者のニーズに応じて対面形式あるいはオンライン形式いずれの形態でも参加可能なハイブリッドで開催している点が特徴です。オンライン形式でも参加可能であり、コロナ禍でも安心して自宅等からピアサポートに参加することができます。本研究の結果は、AYA世代のがん患者の心理的苦痛の緩和につながるピアサポートプログラムの、全国の他施設への普及・実装につながります。

研究のイメージ図

【広報課確認】ポンチ絵.jpg

期待される効果

  • AYA世代のがん患者への院内のピアサポートプログラムの普及・実装

  • オンラインを活用した参加しやすいピアサポートプログラムの開発

  • AYA世代のがん患者の心理的苦痛緩和

主任研究者

平山 貴敏(国立がん研究センター中央病院 精神腫瘍科)

写真(平山貴敏) .jpg

ピアサポートプログラムの運営に携わって感じることは、ピアサポートの持つ大きな力です。AYA世代の患者同士で気持ちを分かち合ったり、いろいろな考え方に触れたりすることが、病気や治療と向き合う力になることもあります。本研究を通じて、全国のAYA世代のがん患者が、病院内で同世代と出会う機会を増やすことにつながり、入院中の不安な時期を少しでも安心して過ごせるようになればと願っています。

分担研究者

【国立国際医療研究センター病院】
緩和ケア科
新藤 明絵